私の経歴についてお話したいと思います。
医学部在籍中から漠然と精神科に対する興味を抱いていましたが、臨床講義の中で大勢の学生を前に淡々と症状を語る統合失調症の患者さんに静かに聴き入る高橋良教授(当時)の姿に感銘を受けたことが、精神科への進路を決定付けたと言って良いと思います。
その後、東京医科歯科大学精神科に入局し、融道男先生(現名誉教授)、大久保善朗先生(現日本医大教授)の薫陶を受けながら初期研修を積んだことが、精神科臨床の基礎を確固たるものにしたものと思っています。
後期研修では、千葉県浅井病院での地域医療や幅広い臨床経験を積み上げつつ、近藤章久先生(近藤クリニック、故人)から教育分析を受けてホーナイ派の精神分析療法に関する研鑽を積んで参りました。
その中で、人間一人一人が内包する 「 本来の自己(essencial self) 」 の人間的成長・発展への力を信じることの重要性を実感するようになり、それを臨床の現場で実践したいという想いから2003年にクリニックと併設するカウンセリングオフィスを開設いたしました。
自らの寄って立つ足許を見つめながら、謙虚さを失わず、診療の向上を心掛けていきたいと常に思っています。