予知できない、反復性の重篤な不安発作であり、動悸、胸痛、窒息感、めまい、嘔気、非現実感などの症状をともないます。電車や雑踏などの特定の状況で起こると、その後そのような状況を避けるようになることがあります。また発作が起きるのではないかという持続的な恐れ(予期不安)が生じます。
パニック発作の予防に抗不安薬が有効であっても、予期不安は発作が起きた状況の記憶と密接に結びついているため、抗不安薬だけでは充分な改善が見られないのが一般的です。つまり、発作が起きなくても、予期不安のために混雑した地下鉄を避けてしまうなどの行動制限がしばしば見られます。予期不安に対しては抗うつ薬の有効性が経験的に知られており、副作用の少ない SSRI (セロトニン再取り込み阻害剤)や TCA (三環系抗うつ薬)の少量併用が一般的です。薬物療法は 3~6ヶ月間継続しますが、パニック発作の再発を防止して、症状が固定するのを防ぐことが肝要です。
パニック発作が起きる背景には様々な社会的心理的ストレスが関与しています。それらが明確に意識される場合もあれば、判然としない場合もあります。自らが置かれている心理状況を明確にすることで不安を軽減できる場合も多いため、精神療法も有用です。