大脳皮質にアミロイドベータという異常蛋白質が凝集して「老人班」、神経細胞にタウ蛋白が蓄積して「神経原線維変化」が生じます。記憶障害で発症し徐々に認知機能低下が進行する認知症です。
大脳皮質に「レヴィー小体」という蛋白質の塊が現れる認知症。幻覚、妄想、うつ状態、記憶障害、パーキンソン病のような運動障害が生じることがあります。
主に脳梗塞、脳出血の多発による認知症。脳血管障害の発作が起きることで階段状に症状が進行する。まだら認知症とも言われます。
物忘れの訴えがあり、加齢に伴う記憶障害の範囲を超えた記憶障害が存在するものの、全般的な認知機能は正常に保たれ、日常生活動作は保たれることから、認知症とは呼べない状態です。これらの条件を満たす例を経過観察すると、年率にして10~15%がアルツハイマー病を発症したことから、認知症前段階として注目されています。MCIの患者さんにドネペジル(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤)を投与すると、投与しなかった群と比べて、12~24か月後のアルツハイマー病発症率が有意に低下していたという報告もあります。したがって、ドネペジルによる神経細胞保護作用がアルツハイマー病の発症予防、ないし発症遅延に効果があるかもしれません。ただし、ドネペジルの投与で不安、焦燥感が増したり、暴言・暴力が増えたり、他人の助言を受け容れなくなるなどのケースもあるため、そのような副作用が出現した場合はすみやかに中止する必要があります。