うつ病「心のやまい」が、身体や行動に与える例…症状・治療について

  1. (1) 抑うつ気分
  2. (2) 興味と喜びの消失
  3. (3) 活力の減退による易疲労感の増大や活動性の減少
  4. (4) 集中力と注意力の減退
  5. (5) 自己評価と自信の低下
  6. (6) 罪責感と無価値観
  7. (7) 将来に対する希望のない悲観的な見方
  8. (8) 自傷あるいは自殺の観念や行為
  9. (9) 睡眠障害
  10. (10) 食欲不振

(1)~(3)がうつ病の最も典型的な症状であり、このうち少なくとも2つ、さらに(4)~(10)の症状のうちの少なくとも2つが、最低でも2週間持続すると軽症のうつ病と診断されます。それ以上の項目が該当する場合、中等症、重症と段階的に重症度が高くなります。 (国際疾病分類ICD-10 精神と行動の障害より)

うつ病は様々な心理社会的ストレスをきっかけに発症しますが、インターフェロンなど各種薬剤の副作用や、膠原病、甲状腺機能低下症など身体疾患の併発症状として出現することもあります。倦怠感、食欲不振、頭痛などの身体症状の影に隠れて精神症状があまり目立たない 「 仮面うつ病 」 と呼ばれるものもあります。さらに、従来のうつ病の概念とは異なる 「 非定型病像 」 といわれる病態が最近は注目されています。

治療について

うつ病においては、休養によるストレス軽減と薬物療法が中心的な治療になります。病状や体質に応じて、適切な種類と用量の薬物を選ぶことが、最大の効果をもたらし、副作用を少なくします。

日本におけるうつ病治療のガイドラインでは、
軽症の場合はSSRI (選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
中等症以上の場合はTCA (三環系抗うつ薬)
を第一選択とすることが推奨されています。

SSRIは効果の発現が1~2週間と早く、副作用の少ない抗うつ薬ですが、10%程度の頻度で吐き気、胃部不快感が出現することがあります。

TCAは従来から使用されており、強い抗うつ効果がありますが、効果が発現するまで2~4週間かかります。また、眠気、口渇、便秘、排尿困難、立ちくらみなどの副作用が出現することがあります。

その他、TCAより副作用の少ない四環系抗うつ薬、SNRI (セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)スルピリドなどの薬剤がよく使用されます。最近、ノルアドレナリンとセロトニンの放出を促進するNaSSA (一般名ミルタザピン)と呼ばれる新しい抗うつ剤も発売され、選択肢も拡がってきています。

個々の患者さんの体質に合った抗うつ薬を見つけるためには試行錯誤することもありますが、各抗うつ薬は最低でも4週間継続して効果を判定することが望ましいと言われています。

抗うつ薬を極量まで増やしても充分な効果が得られない場合、気分調整剤といわれる薬剤を併用して、抗うつ効果を増強する治療法も一般的です。
気分調整剤は、lithium carbonate, sodium valproate, carbamazepine, clonazepamなどのリチウム製剤や抗てんかん薬が一般的ですが、最近では、risperidone, aripiprazol, quetiapine fumarate, olanzapineなどの非定型抗精神病薬も使用される機会が増えています。

薬物療法がほぼ無効であっても、無痙攣性電気ショック療法が効果的な場合があります。その場合、入院治療を必要とするため、関連医療機関に責任をもってご紹介いたします。

うつ病の軽症例では精神安定剤や睡眠薬で改善することもありますが、中等症以上では抗うつ薬による薬物療法が主流です。また、回復しても服薬を中断すると再発しやすいため、最低でも1年間の維持療法が推奨されています。
薬物療法だけではうつ病発症の要因となった認知の歪みを修正することは困難なため、精神療法を併用することが有用であるとも言われています。当クリニックではうつ病の精神分析的精神療法にも力を注いでいます。